かつて長野県には、中野西高校、軽井沢高校、岡谷南高校、松本県ヶ丘高校の4校に英語科が設置されていました。しかし、時代の変化とともに閉科が相次ぎ、2018年に松本県ヶ丘高校が探究科へと転換したことで、県内から英語科は完全に姿を消しました。本記事では、その背景を探り、今後の英語教育のあり方について考察します。
英語科の衰退の背景
1. 時代のニーズに合わなくなったカリキュラム
英語科では、基本的に文法や読解力、会話力の向上など英語学習を重視した教育が行われていました。しかし、グローバル化が進む中、単に英語を話せるだけではなく、異文化理解や国際問題への対応力のニーズが高まるようになってきました。そのため、英語に特化したカリキュラムではやや時代遅れとなり、より幅広い視野を持つ「国際教養科」へと発展していったと考えられます。
2. 設置校の偏差値のばらつき
英語科が設置されていた4校について、現在の普通科ベースの偏差値で比較すると以下となります。
松本県ヶ丘:62
岡谷南 :53
中野西 :48
軽井沢 :37
英語科設置当時から偏差値は変動しているとはいえ、もともと学校ごとの学力層には大きな開きがありました。同じ「英語科」という名称でありながらも、教育レベルには差があり、一貫した教育モデルを構築することが難しかった可能性が高いです。特に軽井沢高校では生徒集めに苦戦し、英語を本格的に学びたいと考えて志願する受験生は限られていたと考えられます。
3. 進学選択の制約
英語科に進学すると、カリキュラムの関係上、理系への進学が難しくなるというデメリットがありました。
特に松本県ヶ丘高校では、難関大学を目指す生徒が多いため、この制約は大きな影響を与えたといえます。
以前の記事でも触れましたが、松本県ヶ丘高校に設置すべきだったのは、英語科ではなく理数科だったと考えています。
松本の高校にはなぜか理数科がない!?
一方で、中野西高校の英語科は、数学Ⅲなどの理系科目を選択できるカリキュラムがあったと記憶しています。(もし違っていたらすみません。)
理系を志望しつつも英語を重点的に学びたいと考える生徒にとっては、魅力的な選択肢だったと思います。
理系の進路を選んでも英語は必須であり、英語力を高めることは大きな強みになるはずです。現在の中野西高校はかつての勢いを失ってしまいましたが、当時の進学実績が良かったのは、英語科の影響が大きかったのではないでしょうか。
4. 軽井沢高校の英語科
4校の中でも、特に軽井沢高校は厳しい状況にあったと考えられます。
軽井沢高校の英語科は、国内有数の観光地という特性を活かして設置されたものの、学校の偏差値は高いとはいえず、優秀な生徒の確保が難しい状況が続いていました。
その結果、募集定員割れが相次ぎ、対策として国際文化科へ転科する措置もとられましたが、根本的な課題は解決せず、最終的に閉科となりました。
軽井沢というブランドともいえる地名を冠した学校でありながら、このような状況に至ったことは、非常に残念に感じます。
国際教養科への転換と今後の課題
現在、英語科に代わる学科として国際教養科が、長野西高校、上田染谷丘高校、飯田風越高校の3校に設置されています。国際教養科では、英語教育に加えて、異文化理解や国際問題に関する学習を取り入れ、より幅広い教育を提供しています。
これらの3校はいずれも旧制高等女学校をルーツとする点が共通しており、英語科が設置されていた4校と比べると、偏差値のばらつきは小さい傾向にあります。
3校の中では、最も早く国際教養科を設置した長野西高校が特に成果を上げており、進学実績も優れています。
長野西高校が最も都市部に位置していることから、国際的なニーズが比較的高く、意欲のある生徒が集まりやすい環境であることが影響しているのかもしれません。
上田染谷丘高校と飯田風越高校についても、今後の環境次第では発展の可能性があるでしょう。
しかし、英語科と同様に理系の進路が選択しにくいという課題は依然として残っています。
中学生の時点で文系の進路を決定することは、やや早すぎるのではないかという懸念があります。
まとめ:今後求められる改革とは
英語科は、時代の変化とともに役割を終えた学科になっています。しかし、国際教養科もまた、今後のニーズに適応できなければ、同じ道を辿る可能性があります。
今後、国際教養科が持続的に発展するためには、
- 英語力の向上だけでなく、実践的な学びの場やグローバルな視点を養う教育を重視する
- 理系分野との融合を図り、理系志望者にも魅力的なカリキュラムとする
といった改革が求められるでしょう。
英語教育のあり方は、時代とともに変わり続けます。過去の英語科の衰退の理由を踏まえ、今後の語学教育がより実践的で社会に求められるものとなることを期待します。
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