長野県には県内にいくつかの高校に理数科が設置されていますが、松本地域には理数科を持つ高校が存在しません。
この状況について、以下に詳しく考察します。
長野県の理数科設置校
現在、長野県内で理数科を設置している高校は、屋代、野沢北、伊那北、飯田、木曽青峰の5校です。
以前は飯山北高校と大町高校にも理数科がありましたが、学校統合に伴い、現在は探究系の学科に転換されています。
地域的な偏りと松本地域の現状
上記の理数科設置校を地理的に見ると、松本市およびその近郊には今も昔も理数科を持つ高校が存在せず、理数科という選択が限られることになります。
1990年代に県内各地で理数科の設置が進められましたが、松本周辺にだけ理数科が設置されなかったことは少し異色です。
松本県ヶ丘高校の取り組み
松本地域の松本深志高校に次ぐ進学校である松本県ヶ丘高校では、2018年に自然探究科と国際探究科が設置されました。自然探究科は理数科に近いカリキュラムを持ち、理数科相当の学科は遅まきながら設置されたといえます。
県内で理数科が設置され始めた1990年代から約20年遅れではありますが、ようやく松本地域の理系志向の生徒にとって新たな選択肢が生まれました。
同校は1994年に英語科を設置し、英語教育に力を入れてきましたが、2018年の学科改編により探究科へと転換されました。
このことから、英語科設置は一定の成果を上げたものの、地域のニーズや時代の変化に完全には適応しきれなかった可能性が考えられます。
もし県ヶ丘高校に理数科が設置されていたら
仮に1990年代に県ヶ丘高校に理数科が設置されていたとしたら、松本地域の教育環境は大きく変わっていたかもしれません。
深志高校などの上位校に対抗する施策として、理数科の設置は有効であったと考えられます。
トップ層の生徒は医学部や旧帝理工系などを目指す理系志向が多い傾向にあり、特に深志高校では医学部志望者が多い傾向にあります。
英語科では文系進路が中心となるため、深志高校レベルの生徒を引き寄せるには限界がありました。
一方、理数科であれば、これらの生徒の選択肢の一つとなり、深志高校との競争力を強化し、良いシナジー効果をもたらした可能性があります。
まとめ
このように、松本県ヶ丘高校に理数科が設置されていた世界線を想像すると、非常に興味深いものがあります。地域の教育環境や進学実績、さらには学校間の競争関係など、多方面にわたって影響を及ぼしたことでしょう。
それにかわる存在である県ヶ丘高校探究科は、まだ歴史は浅いものの大きな影響を与える可能性を秘めています。県ヶ丘高校の今後の実績に注目し、更なる発展を期待したいところです。
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